東京都庭園美術館(港区白金台5、TEL 03-5777-8600)では6月12日まで「建物公開 旧朝香邸物語」展を開催している。
年に一度の「建物公開展」は、1990年の初開催より定期的に開催されていたが、近年では設備増強工事などのため2017年4月より一時休館していた。その後、庭などの改修工事も経て、今年3月に開館。本展覧会ですべての施設の公開に至った。
重要文化財にも指定され、現東京都庭園美術館本館となる「旧朝香宮邸」は、久邇宮朝彦親王の第八王子鳩彦王により、1933年に建てられた建物。同氏が1925年にパリで開催された「アール・デコ博覧会」を訪問した際に、その様式美に強い感銘を受けたことがきっかけとなり、朝香宮邸への建設を始め1933年に竣工した。
アール・デコ様式が全面に取り入れられた同建物は、随所にアーチのモチーフや幾何学的な模様などが取り入れられている。シンボルのひとつである香水塔がある次室には、ガラスやコンクリート、タイルに漆など異素材が共存する空間となっており、アール・デコらしさを感じることができる。
本展覧会は、写真撮影が可能なことから(一部を除く)、来場者によるSNSの投稿なども後押しし、若い世代の来場者も増えているという。
「アール・デコ様式の空間全体とあわせて、通常の展示では見ることのできない、手すりや暖房カバーなど細かいしつらえの部分なども、じっくり見ていただきたい」と話す広報担当者。「建物の周りにある3つの庭園は都内では貴重な緑の空間。建物とあわせて楽しんで欲しい」と庭園美術館ならではの楽しみ方を呼び掛ける。
開館時間は10時~18時。入場料は、一般=900円、大学生=720円、中学生・高校生=450円。65歳以上=450円。6月12日まで。