ホテル雅叙園東京(目黒区下目黒1)で4月26日、企画展「福ねこ at 百段階段~和室で楽しむ ねこアート~」が始まった。
東京都指定文化財「百段階段」の7部屋を会場に9人のアーティストが猫をモチーフにした絵画、人形、陶芸、彫刻、写真、立体などのアート作品約1000点を展示する同展。各部屋での写真撮影は自由。
出展作家は、写真集「のら猫拳」で知られる写真家のアクセントさん、猫をモチーフにした仏像アート作品を手掛けるもりわじんさん、浮世絵を立体化した陶芸作品を出品する小澤康麿さん、日本画の手法で「和製クリムト」といわれる耽美(たんび)的な作風で猫を描く川上けいすけさん、本物の猫のヒゲを使った創作人形作家の石渡いくよさん、招き猫、屏風などに現代美術を盛り込んだ作風で知られるなかむらじんさん、「日本招き猫大賞」受賞者で切り絵作家の松風直美さんなど。
小澤さんは「漁礁(ぎょしょう)の間」に江戸時代の愛猫家・歌川国芳の「猫飼好五十三疋(みょうかいこうごじゅうさんびき)」の浮世絵の絵から実際に瀬戸焼きの陶芸で立体化した作品を展示する。
国芳の同作は同門の歌川広重の作品「東海道五十三次」のパロディーとして描いたもの。「国芳の猫の浮世絵はよく観察されているからこそ立体化しやすい。絵と立体化されたものを見比べてみてほしい。中でも『草津』を『こたつ』と言い換えている作品は、立体化する際に、こたつ布団に猫がもう1匹入っているように作っている。そういった遊び心も加えた作品となっている」と小澤さん。
百段階段の入り口に展示する写真家アクセントさんはねこじゃらしを使って猫の躍動感を表現した写真など17点を展示する。「ねこじゃらしで遊んだ猫の画像を自身のSNSで投稿したところ、4万リツイートされるなど反響があって驚いた。『カンフー』や『拳法してる』とかさまざまなコメントがあり、このスタイルで撮影していこうと思った」と話す。
同園広報担当者の芳賀尚賢さんは「百段階段での展示は17年前から始まったが、猫に関するテーマは初めて。雅叙園は絢爛(けんらん)豪華だが、スズメやウリ、ナス、キュウリなど親しみのある作風の絵なども盛り込まれている。猫は江戸時代には庶民の身近な存在となり浮世絵など登場するようになった。現代の作家さんが猫をアート作品にしているところなどこの会場と共に楽しんでいただければ」と話す。
開催時間は10時~18時。入場料は、一般=1,500円(前売りは1,200円)、学生=800円、小学生以下無料。5月14日まで。