目黒区美術館(目黒区目黒2)で現在、企画展「没後50年 藤田嗣治 本のしごと 文字を装う絵の世界」が開催されている。藤田嗣治(レオナール・フジタ)は1913年に26歳でフランスに渡り、パリで活躍。猫と女性を得意な画題とし、日本画の技法を油彩画に取り入れつつ、独自の「乳白色の肌」の裸婦像画がヨーロッパで高い評価を受け「画壇の寵児」と呼ばれる。
藤田は絵画だけでなく挿絵本(さしえぼん)の仕事にも積極的に取り組み、フランスで50冊以上も出版され人気を誇る。藤田がパリに渡った19世紀後半から20世紀は挿絵本興隆の時代で、 希少性の高い挿絵本は愛書家の収集対象となる。同展では、戦前のフランスで発行された藤田の挿絵本、日本での出版に関わる仕事、フランスに移住した後の大型豪華本の挿絵などを中心に、雑誌を含む書籍100タイトルを紹介し藤田の「本の仕事」を振り返る。
その他、絵画や版画作品など約40点、友人に送った葉書や絵手紙や手作りのおもちゃなども同時に展示し、藤田の幅広い創作活動を紹介する。
同館学芸員の佐川さんは「挿絵本における藤田嗣治の版表現の多彩な世界とともに、友人や妻に送ったインクや水彩による美しい手描きの葉書、絵手紙もじっくりご覧いただければ。紙の上での文字と絵の共演を楽しんでいただきたい」と話す。
開館時間は10時~18時。月曜休館。観覧料は一般1,000円ほか。6月10日まで。