「Impact HUB Tokyo(インパクトハブトーキョー)」(目黒区目黒2)で4月16日、起業家支援イベント「スパークプラグ・オーシャン」が開催された。
「持続可能な水産業」をテーマに企画した同イベント。「Impact HUB Tokyo」と地域環境保全団体「公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)」では1月から、共同プログラムとして、水産業を目指す起業家育成プログラム「Ocean チャレンジプログラム」を展開。この日は、約3カ月間の取り組みの集大成として発表会を行った。
同プログラムには、「海の環境を守りたい」「水産業を持続可能にしたい」などの目標を掲げる起業家5人が参画した。
期間中、参加者たちはそれぞれ、「環境負荷の少ない水産物の生産方法」、「持続可能な方法で生産された製品の普及」、「漁獲量減少による経営難に悩む生産者の収入増加」、「海洋保全による資源回復の両立」などの実現に向け取り組んだ。
WWFは海洋保全や水産資源の管理について、Impact HUB Tokyoは事業設計、起業の手順、経営戦略などに関するワークショップを開き、取り組みを後押しした。
発表会にはプログラム参加者4人が登壇した。魚卸「食一」社長の田中淳士さんは、海上で破棄される「未利用魚(みりようぎょ)」に着目し、全国100カ所以上の漁港から未利用魚を買い付け、全国の飲食店へ卸す事業を発表した。
田中さんは「昔ほど魚が獲れなくなっていきていることを肌で感じている。水産資源の減少で経営難、後継者不足などさまざま課題がある。未利用魚は知名度が低い、見た目が悪い、漁獲量が安定しないなどの理由で値段がつかず、廃棄されている状況がある。捨てられるおいしい魚を必要とされているところへつないでいきたい」と話す。
HUB Tokyoの岩井美咲さんは「当社は今回の起業家育成プログラムや、コワーキングスペース、起業家同士のコミュニティスぺース、イベントなど行っている。起業家育成プログラムは今後、水産業に限らず一次産業のさまざまな課題にも拡大していきたい」と意欲を見せる。